2009/09/11

七転八倒008


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総選挙自民党惨敗、政権交代、台風一過となんとも気持ち良い9月を迎えた。大臣、幹部、総理経験者までもが軒並み民主党の若手に敗北するというなんとも痛快な選挙結果。世間の期待感も自ずと上昇している様子。一方、米国有力各紙などは早々に鳩山新政権へをけん制する論評を出しているようだが、そんなもんは余計なお世話だ。敗戦後の日本をずっと統治してきたアメリカ合衆国と、その腰巾着としての自民党政権をデフォルトに戻す絶好のチャンス到来。民主党がどこまで改革できるかは未知数だが、政府の力が確実に失速する中で新しいプラットフォーム作りのお膳立ては整ってきている。刹那的な国民性は一層加速するだろうが、良くも悪くも民主主義の新しいフェーズに突入すると期待したい。しかし、麻生首相の敗戦の弁も酷かったナ。泣きっ面に蜂というか、喧嘩に負けて不貞腐れたガキのような幼稚な態度をテレビで観て、つくづくこの人はわかってないんだナァと哀れだった。この人は負け方すら知らないのだナ。まぁこれでサヨナラなんで、ゆっくり漫画でも読んでてくれればいいや。

フランスの経済学者・思想家のジャック・アタリの著作「21世紀の歴史」が凄く刺激的だった。人類の起源からの移動の歴史、各時代における中心都市の栄枯盛衰、そして今後30年から50年後の世界の予測を、未来から振り返るという視点で書かれている。ミッテラン元大統領のブレーンとして活躍し、今またサルコジ政権のアドバイザーとして、フランスの国政改革に知恵を絞っている。アタリ氏いわく、現在のフランスは危機的状況で早急な対策が必要らしいが、その問題点のひとつひとつがまさに日本が抱える問題点と酷似していて、空恐ろしくなった。歴史上、文化・経済の中心都市が現在まで9度移り変わってきたとアタリ氏はいう。その中で歴史上何度かのチャンスはあったにもかかわらず、ヨーロッパの大国フランスは一度も中心都市たりえなかった。日本もまた中心都市になりえたチャンスを何度か逸している。キーワードは開放性と流動性。フランスも日本もこの二つのキーワードには滅法弱い。

オバマ大統領の大統領選のデザイン・ディレクターを努めたスコット・トーマス氏のプレゼンテーションを聴く機会があった。休暇で日本に滞在していて(現在は帰国)たまたま付き合いのあった知り合いの会社が場を設けてくれた。見た目はそこいらにいる普通の青年、しかも若干29歳!?キャンペーンの頃は26,7歳!?驚きの若さ。キャンペーン予算のほとんどはTVスポットに充てられ、最小限の予算とスタッフで切り盛りしていたらしい。彼らの目的はただひとつ、オバマを大統領にすること。オバマの良さを伝え、一人でも多くの支持者と献金を集める事だ。そのために本当に細部に渡るチェックを繰り返しながら様々なデザインが行われた。「Doing it live!」というオライリーの言葉を引用して彼が話したのは、「とにかく日々改良修正を施していく事」作ったら直し、直しては作り、バックグラウンドの色ひとつ、文章の言い回し、改行のひとつ、ナビゲーションの位置や大きさやフローがその日の支持率に反映する。彼いわく「明日、朝一で取りかかるよ」ではもう遅いのだ。今解決すべき仕事はまさに今解決しないと手遅れになってしまう。完成度よりも即時性、その時点で最も有効な答えを出していく事が最優先される。スコットいわく、デザインの利点は一言も言葉を発せず一瞬にしてコミュニケーションを取れることにある。そして、それはインターネットによってもの凄いスピードで拡がっていく。今時の若者が今時のツールを使って、黒人初の大統領を誕生させてしまう。「群集の叡智」を集めたまさに合衆国らしいアプローチだ。

さて、日本はどうだろう?新型インフルエンザの周知パンフレットを、専門家の意見等を精査して作成し全国に配布するのに、数年かかるという話を聞いた。新型インフルエンザも数年後には旧型になってしまうじゃないか?という笑い話みたいな話。新政権のスピード、即時性にどこまで期待していいものか?いや待てよ、期待している時点でもう遅いのかもしれない。問題は我々自身がいかに迅速に立ち回っていけるかに掛かっているのだ。政治が混乱している今、またとないタイミングが来ている気がする。