2009/09/11

七転八倒005


http://www.icc-jp.com/toru/

ウチのカミさんは最近流行りのヨガをもう十年以上教えているのだが、最近レッスンを辞めるひとが増えているらしい。外資系の企業で普段バリバリ仕事をしている生徒が多いらしく、今、その生徒たちが仕事を失ったりしてレッスンを辞めざるを得ないというケースが増えているらしいのだ。「なんでもいいから仕事紹介して!」とヨガスタジオが俄かハローワーク化しているらしい。また日常の仕事のストレス解消のためにヨガをやっているひとも多く、そんな人たちにとっては一種のシェルターのような機能を果たしているようで、経済的に厳しくてもヨガだけはやめられない!なんていう、なんだか余計にストレスが溜まりそうな事態にもなっているらしい。「クンダリーニの覚醒」とか、「アートマンの探求」とか、「サマーディへの到達」とかいろいろの前に、やはり「慢性的不況」とか、「日々の生活」とか、「婚活」とか様々な煩悩的要素が立ちはだかり、それどころじゃない状況を生み出している。100年に一度といわれる経済不況は2000年以上にわたる賢者パタンジャリのヨーガ・スートラをも揺るがすダークフォースらしい。「May the force be with you!」

そんな感じで、聞こえてくるのは景気の悪い話ばかりでどうにもこうにも辛気臭い今日この頃。来月末には総選挙も控えているし、いよいよもってこの国も年貢の納め時な感じ。先日の自民党の両院議員総会、転じて懇談会も非公開、転じて公開されたが、着席しているオトッつぁん議員連中が挙手して起立して「もぐらたたき」のごとくあっちこっちで叫んでいたが、声のトーンも裏返っちゃって、まぁなんと言うか沈没船の断末魔の叫びというか、酸欠状態の金魚みたいにアップアップだった。「みっともネーなー」と思って観ていたんだけど、「これってウチラの映し鏡だよなー」とも同時に思った。つまり、皮肉なことにこの場に及んでようやく「断末魔」という意味で政治と国民が一致したわけだ。ヤレヤレ。

なんでこんな風になっちゃったのか?答えは単純。「戦略」がないから。でもこれは昨日今日の話じゃなくて、構造的に日本の近代というのは無戦略の歴史なのだ。明治以降の「脱亜入欧」のスローガンのもとにロールモデルを西洋に求め、2度の大戦後はアメリカ合衆国にそれを求めた。つまり、この国は開国以降、戦略は欧米任せという仕組みでずっとやってきたのだ。

「戦略」と対に「戦術」という言葉がある。「戦略」とは長期的かつ全体的ビジョンのもとに目標を達成するための統合的な計画をいい、「戦術」とはその目標達成のために必要な課題解決のための具体的アクションプランをいう。アジアから脱して西洋に追いつくという決断は統合的ビジョンを必要としない。ビジョンはすでに海の向こうに存在しているのだから。そして大戦後は敗戦国としてアメリカの立てた「戦略」を達成するための課題解決を余儀なくされた。そのようにして目標達成のビジョンがないままにその場その場の課題解決に終始する体質が習慣化してしまったままこれまでやってきたのだ。戦後の焼け野原からのスタートは大そうな「戦略」など考えずとも、課題解決の「戦術」の積み重ねでやってこれたし、それなりの成果もあった。そもそもゼロからのスタートなのだから成長しないわけがないのだ。「統合的ビジョンなんて大そうなものを考えるヒマがあったら一個でも多く西洋的なものを作って一個でも多く売れ!」という発想で日本全体が動いていた。(いまでも基本的な発想はあまり変わってないのだけれど)

気づくと戦略をゆだねていた欧米は老体化し、日本は欧米の介護をしつつ自らの統合的ビジョンを考えねばならないという二重苦に直面する。いわゆる「世代交代」なんだけど、今まで統合的ビジョンを考えるなんて習慣はなかったわけだから、一朝一夕に思いつくわけもなく、なんとなく突然一家を任されることになった長男(長女)のようにアタフタしながらこれといった目標もなく海外の不動産を買ったり、絵画を買ったり、ディスコでパンツ出して踊ったり、それを下から眺めたり、その足でサイパン旅行行っちゃったりしたりしていたのだ。それから20年かけてそれまでコツコツ貯めてきた蓄えを介護と浪費で使い切り、今となっては借金で首がまわらなくなってしまったバカ息子(娘)なのだ。

昔から「バカは死ななきゃ直らない」という。だから本当に一度死ななきゃならないんだと思う。死に体と化した政治しかり、戦略なきパッチ充て戦術を繰り返してきた企業しかり。一度リセットして、自分自身の目標達成のビジョンを考える時期が本当にきているのだと思う。ビジョンとは「約束」だ。国としてどんな「約束」が世界にできるか?人としてどんな約束が世間にできるか?そしてその責任を取る覚悟があるか?創造的戦略とはそれに尽きる。

「破壊のない戦略は存在しない」
カタまったパソコンは初期化するしかないのだ。