2009/09/11

七転八倒002


http://www.icc-jp.com/toru/


はっきりしない天気が続いた後の久々の晴れ間。地元のショッピングセンターのカフェテラスでコーヒーを飲む。ケヤキ並木の新緑越しに初夏の光がキラキラと差し込み心地良い。「今年もまた生命の季節がやってきたのダナァ・・・ふぅ・・・」と物思いにふける昼下がり・・・。と書けば、何やら物憂げなロマンスでも始まりそうなトキメキも感じてしまうところだが、現実はそうもいかない。ヒマそうに巡回パトロールしている交番の巡査が通り際にジロりとこちらを伺い、こちらも考え事をしている風を装いつつ目線をはずさずに睨み返すという高度なテクを使いつつもガンの飛ばし合いに勝利し、「ナメたらいかんぜよ・・・」と心の中でつぶやいたりしている午後のひと時なのだ、ケッ。まぁしかし、こんな郊外のヘッポコタウンの昼下がりにヒマをつぶしているのは、怪しい自由業か、出世コース離脱組の交番のオマワリか、老人ホームの順番待ちをしている年寄りぐらいで、現実問題としてはそこにロマンスのカケラも入り込む余地は存在しないのだ、ケッ、ペッ。となにやら先ほどまでのキラキラトキメキ気分が急速に萎え、もうちょっとで登場するはずだった原田知世も音速で消えていき、新緑の木漏れ日もただチラチラとラップトップのモニタをこの上なく見づらくしているだけの邪魔モノとなってしまったのだった。

それにしても、よくよく見回してみるとこのカフェテラスにいるのはほぼ全て老人という状態に気がついた。しかも、フードコーナーから鰊そばを持ってきてズルズルやってるバァさんやら、タッパーに入れた漬物やら煮物を分け合いながら、これまた魔法瓶に入れて持ってきた番茶なぞをすすっているツワモノもいる。そして、道行く知り合い老人を見つけてはそのお茶会に誘っているので、その輪はドンドン拡大の一途なのだ。これではフードコーナーの売り上げも上がらず、宣伝・集客としてのカフェテラスもその役目を果たせない。とんだ「けやきFOREST(カフェテラスの名称)」なのだ。スイーツにカフェラテを挟んで微笑みあうカップルという目論見は早くも崩壊してしまっているのだ。高齢化の波は元気溌剌郊外のカフェテラスを確実に占拠していたのだ。

そんな日本は今、高齢化社会のモデルケースとして世界的から注目されている。たとえば今や世界中のセレブ御用達のウォッシュレットなどの高機能トイレ。今では血圧や血中糖度を検査できる機能まであるらしい。トイレに入れば自動的に便座が開き、使用後立ち上がるときも便座が自動的に持ち上がり足腰を痛めない配慮がされている。最近注目されているのは、電気ポットの湯沸しセンサー機能。これは高齢者の生活習慣に目をつけたアイデアで、思わずナルホドと唸ってしまった。高齢者は習慣的に朝・昼・晩とお茶を飲むので、センサーで湯沸しのタイミングを遠隔地の子供やヘルパーがフォローできるサービス。普段お茶をいれる時間帯に湯沸しセンサーが作動しないと、「おや?」と電話して確認できるというもの。このように高齢者生活に付随した様々なサービスやそれに伴う研究・開発面で日本は圧倒的先進国で、世界中から注目されているのだ。

巷では「草食系男子」が話題だが、男性遺伝子が確実に衰退しているのは周知の事実で、景気悪化、政情不安も相まって出生率は伸びない。しかも、医療の進歩で人はなかなか死ななくなってしまった。結果、高齢者の比率は倍速で増えていく。これからますます市場は高齢者を無視できない状況になっていく。青山辺りのオシャレカフェをジジババが席巻する日もそう遠くはない気がしてきた。「国破れてジジババあり」というのがこの国の将来像らしい。